カーエアコンのメンテナンスとガス補充・DIYで失敗しない方法

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夏のドライブに、カーエアコンは必需品です!

オートエアコンが主流になった現在では、一年を通じて快適なカーライフを支えてくれている大切な装置となっています。

にもかかわらず、カーエアコンのメンテナンスはあまり意識されていません。

涼しい風が出なくなって初めて「わー困った!なんで?」と、慌てる人も多いのではないでしょうか?

今回の記事では、そんな「わー困った」時の対処法と、エアコンガスのDIY補充法を解説していきます。

カーエアコンの仕組みとガスの種類

カーエアコンのメンテナンスを解説する上で、理解を深めてもらいやすいよう、まずはその仕組みを簡単に説明します。

カーエアコンの仕組み

以下の図は、カーエアコンの構成部品の配置とエアコンガス(冷媒)の流れを説明したものです。

カーエアコンの仕組み図解

➀ コンプレッサー

低圧・低温のガス状冷媒を圧縮し高圧化する装置です。

➁ コンデンサー

コンプレッサーから排出された高圧/高温となった冷媒を冷却し、液状化する装置です。

➂ リキッドタンク

液状化したガス(冷媒)をため込み、圧力を高めるための容器です。

➃ エキスパッションバルブ

膨張弁とも呼ばれ、圧力の高い液状冷媒を一気に噴射しガス化させる装置です。

➄ エバポレーター

エキスパッションバルブから噴射された冷媒ガスの気加熱を利用し、空気を冷却する装置です。

併設されるファンによる風が冷却フィンを通過し、冷やされた風が室内に供給されます。

※家用エアコンの室内機に相当する部分です。

エアコンガスの種類

現在使用されているエアコンガスは、主に以下の3種類となっています。

R-12

主に旧車など古いタイプのエアコンに使われているガスで、現在は環境負荷の少ない代替品が流通しています。

流通の多いR-134aタイプとは、充てんバルブの形状が異なるため、対応するチャージホース・補充用ガスの流通量も多くはありません。

R-134a

最も一般的で流通量も多いのがR-134aで、チャージホース・補充用ガスも容易に入手できます。

R-12と比べ分子構造が細かいため、漏れやすいと云われています。

HFO-1234yf

EVやHVなど最新の車の一部に使われている、環境負荷が極めて低い最新タイプのガスです。

補充用ガスやチャージホースも販売されていますが、「口径が合わない」など規格の確認が不十分なようです。

また、補充用ガスの価格も高いので、DIY充てんは推奨できません。

冷房の効きが悪い時>症状別の原因と対策

冷房の効きが悪くなる原因は、症状によって様々です。

以下に、症状ごとの原因と対策を解説します。

エアコンガスの量について

カーエアコンを快適に使い続けるためには、エアコンガスを適量に維持することが大切になります。

少なすぎても多すぎても、コンプレッサーの寿命を縮める原因になるからです。

なので、カーエアコンを快適に長持ちさせるために、定期的なガス量確認と的確な対応をおすすめします。

エアコンガス量の確認とメンテナンスするための器具

エアコンガスの量(正確にはガス圧)を調べるためには、チャージホース・補充ガス(サービス缶)・保護手袋が必要です。

症状によっては、補充用ガス、カーエアコン用潤滑添加剤やカーエアコン用潤滑剤も準備しましょう。

チャージホース+補充用ガス

私は以下のタイプを使っています。

安価ですが十分に使えますし、持っていると便利なので参考にして下さい。

保護手袋

軍手を使って作業する光景を見ることがありますが、エンジンルームなど回転部品が動いている場所での作業には危険すぎます。

指先部分などのほつれた繊維が、巻き込み事故を誘発するからです。

私は、細かい作業もでき保護機能も高い、ショーワグローブ製「組立グリップ」を推奨します。

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カーエアコン用潤滑添加剤

自動車用ケミカルでは、あまりにも有名なWako’sの製品「パワー エアコン プラス」。

劣化したシステムの内部抵抗を低減し、各部を洗浄する効果が期待できるので、少し高齢化したエアコンには試す価値大です。

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カーエアコン用潤滑剤(PAGオイル)

いわゆるコンプレッサーオイルのことですが、エアコンシステムが古くなると、エアコンガスの漏れとともに失われてしまいます。  

エアコンガスを、何度か補充している場合は必須です。

※ガス量点検の手順は、「エアコンガスの補充方法」で解説します。

エアコンガス補充時の注意

カーエアコンのガスチャージは難しい作業ではありませんが、ボンネット(エンジンフード)を開けた状態でエンジンをかける必要があります。

なので、周りの状況にも配慮し、安全を心がけて実施しましょう。

以下に、代表的な注意事項を記します。

注意事項

  • エンジンの回転部分には、絶対に触れないようにしましょう。
  • ボンネットを閉める際には、指や器具を挟まないように注意しましょう。
  • 作業中に、その場を離れないようにしましょう。
  • エアコンガスの大気放出は、法令違反になるので注意して下さい。
  • チャージホースは、低圧側の配管に接続します。
    ほとんどの場合、高圧側の口金は径が異なるので誤接続は出来ませんが、確認を怠らないようにしましょう。
  • チャージホースの脱着は、必ずエンジン停止時に行いましょう。
  • ガス管は補充中に冷たくなるので、保護手袋を着用しましょう。
  • 軍手は危険なので、着用しないようにしましょう。
  • チャージホースやガス缶は、安定の良い場所に置いて作業しましょう。
  • エアコンガスは、適量を維持することが大切です。
    多すぎると効きが悪くなったり、コンプレッサー故障の原因になったりするので、入れ過ぎにも注意しましょう。

エアコンガスを自分で補充する方法

それでは、エアコンガス補充の手順を説明します。

前項の注意事項を守って、安全に作業を進めましょう。

※「冷房の効きが悪い時>症状別の原因と対策」の症状3で推奨した、カーエアコン用潤滑添加剤やPAGオイルを充てんする場合は、下記説明内の「補充用ガス」と置き換えて進めてください。

1. チャージホースと補充用ガスを準備する

自動車の取説などでエアコンガスの種類を確認し、適合するチャージホースと補充用ガスを準備します。

2. エンジンの停止確認

必ずエンジンが停止していることを確認してから、作業を始めます。

3. エアコンの低圧側バルブを確認

エアコンガスは低圧側バルブから補充するので、その位置を確認します。

※多くの車種はエンジンルーム内にありますが、それ以外の場合もあるので、事前に調べておきましょう。

※低圧側配管は高圧側より太いパイプです。

※ほとんどの場合、低圧側バルブにはLと表示されたキャップがかぶされています。

4. チャージホースのサービス缶バルブを確認

サービス缶バルブの位置説明

サービス缶(補充用ガス)接合部の針(ニードルバルブ)が出ていないことを確認します。 針が出ている場合は、ツマミを矢印方向(上から見て左方向)へ回し切って完全に引っ込めます。

ニードル突出時の画像
ニードル収納時の画像

5. 補充用ガスの缶をセットする

補充用ガス缶の接続画像

サービス缶バルブに、ガス缶を時計回りにしっかりと最後までねじ込んでセットします。

※サービス缶接合部の針が出ている状態でセットすると、エアコンガスが放出します。
必ず針が出ていない状態でセットしてください。

6. クイックジョイントを低圧側バルブに接続

クイックジョイントの位置写真

手順2で確認した「低圧側バルブ」のキャップを外し、チャージホースのクイックジョイントを接続します。

※クイックジョイントのカバーを、上方にスライドさせた状態で低圧側バルブに押し当て、スライドしたカバーを戻せばカチッと接続されます。

※接続されたクイックジョイントを軽くゆすってみて、確実に接続されていることを確認しましょう。

7. チャージホース内のエア抜き

このまま作業進めるとエアコンの配管内に空気が混入し、故障の原因になるのでチャージホース内のエアを抜きます。

手順4でセットしたガス管を、ユックリと反時計回りに緩め、「シュッ」とガスの放出音がしたら直ぐに締め直して元に戻します。

※「シュッ」は一瞬でOKです、長すぎるとガスが無駄に放出されます。

8. エンジンを始動しエアコンをONにする

エンジンを始動し、➀設定温度を最低 ➁風量を最大 ➂内気循環 でカーエアコンを作動させます。

エアコン設定のイメージ画像

9. エアコンガスの量(圧)を確認する

この時点で、ゲージ(圧力計)の針がブルーゾーンに入って安定すればOK。

エアコンガスの量は、適量と判断できます。

エアコンガスが適量の画像

10. 圧力計の針が前後に振れる場合

圧力計の針は、エアコンの作動状況によって前後に振れます。

コンプレッサーが作動している間は下がり、停止すると上がるんですね。

よく観察していると、カチッという音と共にファンが回りだすタイミングが分かると思います。

これが「コンプレッサーが動き出したタイミング」です。

この時点の圧力=針が低い方に振れた時の状態を確認しましょう。

私の車の場合、針の位置はコンプレッサーが停止すると「黄色と赤の間」。

コンプレッサーが作動すると「ブルーゾーンの中間付近」となるので、エアコンガスは適量と判断できます。

エンジンを停止し、チャージホースを取り外して終了です。

コンプレッサー作動時
コンプレッサー停止時

圧力がブルーゾーンより低い場合は、エアコンガスが不足しているので手順11に進みます。

11. サービス缶バルブのツマミを閉める

手準3で確認したツマミを、右一杯に締め込みます。

※バルブ内の針が突出して缶に穴が明きます。

※この時点では針(ニードルバルブ)が缶の穴をふさいでいます。

12. ガスを充てんする

手順11で締めこんだツマミを、ユックリと左方向に緩めるとニードルバルブが解放され、ガスの充てんが始まります。

※充てんが始まると缶が冷たくなるので、手で包んで暖めたり、軽く振ったりすると充填されやすくなります。

※充てん速度はユックリですので、気長に見守ります。

※缶を逆さまにすると、液状ガスが入ってしまうので良くないといわれています。

13. 圧力計の目盛があがらない場合

ガスが適量近くになると、充填スピードが落ちてきます。

そんな時は、エンジン回転を少し上げると有効です。

※缶が空になると圧力計の目盛はあがらなくなるので、一旦手順14にそって終了し、新しい充てんガスを用意して手順4から再開します。

14. 充填を終了する

ガスが適量になれば手順11と同じように、サービス缶バルブのツマミを右一杯に締め込み、圧力計の目盛を確認します。

そして、まずエンジンを停止し、その後チャージホースを取り外して終了します。

チャージホースは、クイックジョイントのスライドカバーを引き上げた状態で引き抜くようにして取り外します。

以上で、エアコンガスの充てんは終了です。

よくある質問と回答

Q1: DIYでカーエアコンのガスチャージしても危険はないのですか?

A:車のエンジンルームでの作業になるので注意は必要ですが、注意事項をしっかりと守って作業すれば大丈夫です。

Q2: カーエアコンガスを自分で充てんするために必要なものは何ですか?

A:チャージホース、エアコンガス、保護手袋です

Q3: カーエアコンガスを充てんする前に確認すべきことは何ですか?

A:ガスの種類と低圧側バルブの位置です。

Q4: どんなタイプのエアコンガスでも、DIY充てんできますか?

A:どのタイプも可能ですが、HFO-1234yfは補充用ガスが高価なのでDIYメリットがないと思います。
また、チャージホースに品質リスクがあるので、当サイトとしては推奨できません

Q5: カーエアコンガスを、DIYで充てんする際の安全について教えて下さい。

A:エアコンガスは有害ですので、火気のない換気の良い場所で実施してください。

Q6: カーエアコンの効率を上げるためのヒントは?

A:以下の3つが大切です。

  • エアコンガスを適量に保つ
  • エアコンフィルターを定期的に交換し、つまりを防ぐ
  • エンジンルーム内の温度が上がると効率が落ちるので、エンジン冷却水の量と質を適切に管理する

Q7: カーエアコンガスの充てん頻度はどれくらいですか?

A:カーエアコンの使用状況によって異なりますが、良好なコンディションであれば2~3年に一度が推奨されます。

Q8: カーエアコンガスの減りが早いのですが…?

A:ガスを充てんしてもワンシーズンで効きが悪くなる場合は、かなりの漏れが想定されます。早めに整備工場で点検してもらうことをおすすめします。

Q9: カーエアコンからの風が臭う、原因は何ですか?

A:カーエアコンのフィルターや内部機構(エバポレーターなど)に臭いの元があります。
フィルターの交換と内部の除菌消臭で、劇的な改善が見込めます。

Q10: エアコンガスを充填しすぎた時の症状は?

A:冷たい風が出なくなる、あるいは冷たい風が一瞬出ても直ぐにぬるい風になってしまいます。
これは、コンプレッサーの内圧が高過ぎて過熱状態になるからで、内部損傷しないようコンプレッサーが停止するためです。

Q11: エアコンガスを充填し過ぎた時の対策は?

A:エアコンガスを、適量(正常な圧力)まで抜かなければなりません。
※「チャージホース内のエア抜き」と同じ方法で抜くことは可能ですが、エアコンガスの大気放出は法令違反となるので、お近くのカーショップなどで抜いてもらう必要があります。

おすすめ器具の紹介

それでは最後に、おすすめの器具をもう一度紹介します。

ECサイトでは多くの品種が販売されていますが、最もコストパフォーマンスに優れたと思われる製品をリンクしてみました。

ご購入時の参考にしてもらえれば、嬉しいです。

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まとめ

普段は、当たり前のように働いてくれているカーエアコンですが、小さな不具合を放置していると致命的な故障につながります。

エアコンガスやPAGオイルは自然に減ってしまうもの、早めの補充が効果的です。
少しでも気になる症状があれば、早期対応して快適なカーライフを楽しみましょう。

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