普段はあまり使わない車でも、乗りたいときに乗れないと本当に困ります!
突然訪れる「バッテリーあがり」は、その代表選手ですよね。
車を持つ限り、一度や二度の経験はあるんじゃないでしょうか?
でも問題は、その対処方法です!
整備工場に頼むにも、そもそも車が動かないんだから、持ち込むこともできません。
引き取りに来てもらうと、費用も高額に・・・。
そこで今回は、DIYで安全にバッテリーを交換する方法と、バッテリーを長持ちさせる秘訣を解説します!
ぜひ、最後までご覧ください。
1. バッテリー交換する前の予備知識
交換方法を解説する前に、まず自動車のバッテリーについて少し復習してみましょう。
自動車バッテリーの役割
自動車のバッテリーは、オーディオやランプ類など、電装品への電力以外に、エンジンの始動や制御に必要な電力も供給しています。
また、ECUと呼ばれる制御コンピューターには、常に電気を供給しなければなりません。
これは、走行時に得た各種センサーの情報を、キーオフの状態でもしっかりとメモリーに保持させるための機能※となっています。
※旧車・クラシックカーにはない機能です。
電力供給システムの概要
一般的な自動車では、下図のような仕組みで電力を供給しています。
バッテリーの+プラス側は配線によって各電気装置につながっています。
一方、イラストのようにボディの金属部分を介して「ボディアース」と呼ばれる方法で接続されているのが-マイナス側です。
これによって、ボディの金属部分には、常に-マイナス電気が流れているということを覚えておきましょう。
オルタネーター(発電機)は、エンジンの回転によって電気を生み出し、消費された電気をバッテリーに補充(充電)する役割を担っています。
エンジンが稼働している状態でこの機能が働き、電力の需要と供給は常にバランス状態が保たれているんです。
そして、バッテリー電力も常に満タンを維持するように設計されています。
2. 自動車用バッテリーの種類
車種によって異なった特製、容量を求められるのが自動車用バッテリーです。
これらを大きく分けると4種となり、以下にその特徴と品番例を紹介します。
一般車用バッテリー(充電制御車含む)
アイドリングストップ機能が搭載されていない、従来タイプの自動車用のバッテリーです。
旧車などの、充電制御されていないモデルにも使用可能。
バッテリー本体には、以下のような品番が表示されています。
アイドリングストップ車用バッテリー
アイドリングストップ機能が搭載された車種用に設計され、過酷な充放電環境に対応できるバッテリーです。
バッテリー本体には、以下のような品番が表示されています。
欧州車用バッテリー(EN規格)
欧州車を含む一部の車種では、バッテリーの固定方法が異なります。
バッテリーの上部が金具で固定されていない車種は、底部の突起で固定されるEN規格のバッテリーが必要です。
バッテリー本体には、以下のような品番が表示されています。
ハイブリット車(補機)用バッテリー
ハイブリッド車では、走行用のメインバッテリーとは別に、補機用バッテリーが搭載されています。
これは、12Vで稼働する電装品やエンジン・システム制御などに使われ、ガス抜きホースを装着できる専用仕様のバッテリーです。
バッテリー本体には、以下のような品番が表示されています。
3. 自動車用バッテリーの選び方
自動車用バッテリーは、間違ったタイプを選ぶと取付けできなかったり、容量が足りなかったりするので注意が必要です。
また、価格も安い物から高い物まで色々あり悩んでしまいますね。
この項では、自分の車に合ったバッテリーの選び方を紹介します。
➀ 自動車の取扱説明書を確認する
自動車メーカーは、車両に使用するバッテリーの推奨仕様を取扱説明書に記載しています。
取扱説明書がある場合は、自動車メーカーが推奨するバッテリー仕様・型番などを確認しましょう。
➁ 現在のバッテリーを調べる
取扱説明書がない場合は、現在車両に搭載されているバッテリーを調べ、型番やタイプなどを確認します。
これらの情報は、多くの場合バッテリー本体に印刷されています。
➂ バッテリーのグレードを選ぶ
自動車用バッテリーには、多くのグレードがあります。
バッテリーの仕様が決まれば、用途に合ったグレードを選択しましょう。
一般的に、使用頻度が少ない場合は「スタンダードグレードで十分」と考えがちです。
費用対効果を考えると当然ですよね!
ですが、自然放電やサルフェーション※が起こりやすいのもこのグレードです。
補充電や電解液の補充をしないと、寿命が短くなる点も考慮しておきましょう。
- アイドリングストップ車は、プレミアムグレード。
- ハイブリッド車はAGMバッテリー。
- それ以外の一般車なら、スタンダードグレードかプレミアムグレード。
私は、こんな基準で選んでいます。
※サルフェーション=車両の放置など自然放電の状態が長くなることにより、電極表面に硫酸鉛の結晶が付着し、正常な充電ができず十分な電圧が発生しなくなる現象をいいます。
➃バッテリーのブランドを選ぶ
自動車用バッテリーには多くのブランドと価格帯があり、グレードと価格はほぼ同期しています。
ただ、同じグレードでもブランドごとに価格が異なる場合があるので、比較してみることも大切です。
以下は、同じ品番をアマゾンで検索した結果です、参考までにご覧ください。
商品説明はセールス文章でもあるので、当然ながら良い点がたくさん書かれています。
なので、細かい仕様を読み込むことはもちろん大切ですが、以下の2点に注目すると分かりやすいかもしれません。
- 保証期間
- 電極の素材
これらの手順を参考にして、あなたの自動車、使い方に適したバッテリーを選択してください。
4. バッテリーの交換方法
自動車のバッテリー交換は、メンテナンスとしては比較的簡単な作業です。
でも、DIYで交換する場合には、理解しておくべき注意点がいくつかあります。
あなたの愛車にダメージを与えたり、ケガをしたりしないためにも、しっかりと準備をした上で実施してください。
バッテリー交換に必要な工具類
それでは、バッテリー交換を安全に進めるための工具を紹介します。
グローブ(作業手袋)
バッテリーは、正直かなり重い部品です!
軽自動車用でも約11kg、2000ccクラスなら21kg前後はあります。
安全な作業のために、しっかりとした滑り止めがあり、万一の場合にも手の保護ができる作業用グローブを使いましょう。
メモリーバックアップ電源
バッテリーを外している間、ECUのデーターを保持するためのバックアップ電源です。
バックアップ電源をつながなければ、現在までの走行で学習したデーターが失われてしまい、車両状態に適した制御ができなくなる可能性があります。
車種によっては、パワーウィンドウスイッチなどの初期設定が必要になることもあるので、メモリーバックアップを接続して作業することをおすすめします。
※ECUが搭載されていない旧車やクラシックカーには不要です。
スパナレンチ、ボックスレンチ類
バッテリーの固定金具と、ターミナル端子※を脱着するための工具です。
※ターミナル端子=バッテリーの電極に電源線を接続しているコネクター部のことです
ほとんどの国産車の場合は、10mm/12mm/14mmあたりのスパナレンチがあれば間に合います。
EN規格バッテリー(欧州車など)の場合は、バッテリーの固定金具が底の部分にあるので、ボックスレンチとエクステンションバーが必要になるかも知れません。
まずは、ご自分の車を確認して必要な工具を準備しましょう。
ビニールテープ(絶縁テープ)
バッテリーから取り外したターミナル端子がボディに接触しないよう、一時的に絶縁するためのテープです。
接続されたメモリーバックアップ電源のクリップと一緒に巻くことで、接続の補強にもなります。
バッテリー交換時に注意する点
バッテリー交換を実施するにあたり、以下の点を考慮し、作業中は十分に注意をはらってください。
自動車のボディ(金属部)には―マイナス電流が流れています。
ボディアースによって、-マイナス端子とつながっています。
工具は金属製なので電気を通します、ボディとの接触に注意しましょう。
+プラスのターミナル端子を緩める際に、スパナ―レンチなどがボディに接触すると危険です。
+と-をショートさせると強い火花が飛び、やけどや火災の原因になることがあります。
※DC12Vをショートさせると、金属を溶かすくらいの火花が飛びまず!
バッテリーからターミナル端子を外す場合は、必ず-マイナス側から外し、次に+プラス側を外します。
最初にボディアースを遮断することで、+プラス側のターミナル端子を外す際のショートを防ぎます。
ただし、メモリーバックアップを使用する場合は、ボディーアースの遮断ができないので注意が必要です。
バッテリーにターミナル端子を接続する場合は、必ず+プラス側から接続し、次に-マイナス側を接続します。
取り外す場合と逆の手順となるので、間違わないようにしてください。
メモリーバックアップを接続せずにバッテリーを外した場合は、初期設定が必要になることがあります。
ECUが搭載されていない、旧車やクラシックカーの場合は必要ありません。
サイズの合った工具を使用しないと、部品を痛めることがあります。
国産車や欧州車のほとんどは、ミリ(メトリック)サイズのボルト・ナットが使われていますが、英国車や米国車の多くはインチサイズが使われているので、工具を選ぶときには注意してください。
バッテリーの交換手順
それでは、いよいよ交換手順の解説を始めます。
※作業時は、滑り止め付き作業用グローブの着用を忘れずに!
➀ メモリーバックアップに電池が入っていることを確認します。
エーモン製のメモリーバックアップは、単三乾電池8本で稼働します。
➁自動車のキー(電源)が、オフになっていること確認します。
電源がオンの状態でバッテリーを外すと、思わぬトラブルの原因となるので、必ず確認しましょう。
➂バッテリーにメモリーバックアップを接続します。
最初にバッテリーの+プラス側につながっているターミナル端子に、メモリーバックアップの赤いクリップを接続。
プラス側には赤いカバーが被っているので、浮かした状態で作業します。
次にバッテリーの-マイナス側につながっているターミナル端子に、メモリーバックアップの黒いクリップを接続
※クリップは、「ターミナル端子の固定ナットを緩めやすい位置」に接続してください。
➃-マイナス側のターミナル端子を外し、絶縁テープを巻いて保護します。
※ターミナル端子のナットを緩め、バッテリーの電極から引き抜くようにすると外れます。
➄+側のターミナル端子を外し、絶縁テープを巻いて完全に保護します。
➅バッテリーを固定している金具類を外します。
国産車の多くは、バッテリー上部の押さえ金具で固定されているので、ナットを緩めてすべての金具を取り外します。
EN規格のバッテリーの場合は、バッテリーの底の部分に固定された金具を、エクステンションを取り付けたボックスレンチで取り外します。
※金具の取り付け状態をスマホで撮影しておくと、組付け時の参考になります。
➄ バッテリー本体を取り外します。
バッテリーがセットされていた場所を確認し、汚れなどがあれば清掃しておきましょう。
※バッテリーの底部は、汚れが溜まりやすい場所です。
※安全に取り外すために、滑り止めのついた作業手袋の着用をおすすめします。
➅ 新しいバッテリーを所定の位置にセットします。
バッテリーの電極位置を確認し、正しい方向でセットしましょう。
※赤いクリップのついた線が+プラス側です。
⑦ 固定金具を仮組みします。
固定金具を元通りに取り付け、外れない程度に軽く固定します。
⑧ +プラス側ターミナルをバッテリーの+電極に接続します。
+プラス側ターミナル端子の絶縁テープをはがし、メモリーバックアップのクリップが外れないように気を付けながら作業を進めてください。
ナット(ビス)を締め付けて、ターミナル端子をしっかりと固定してください。
※メモリーバックアップ使用時は、ボディには-マイナス電流が流れているので、ショートに注意してください。
➈ -マイナス側ターミナルをバッテリーのマイナス電極に接続します。
-マイナス側ターミナル端子の絶縁テープをはがし、メモリーバックアップのクリップが外れないように気を付けながら作業を進めてください。
ナット(ビス)を締め付けて、ターミナル端子をしっかりと固定してください。
➉ バッテリーを完全に固定します。
⑦で仮組みした金具を本締めして固定します。
バッテリーが所定位置に収まっていること、金具が斜めになっていないことを確認してから本締めしてください。
⑪ 自動車の電源をONにして、電装品が作動することを確認します。
電装品の作動を確認後、自動車の電源をOFFにします。
※エンジンはまだ始動させません。
⑫ メモリーバックアップのクリップを外して終了です。
メモリーバックアップのクリップは、必ず-マイナス側(黒)から外し、次に+プラス側(赤)を外してください。
※メモリーバックアップを取り外したあとで、エンジンを始動して確認します。
※エンジンルームに工具類が残されていない事、ナット・ネジ類の固定を確認して終了してください。
5. バッテリーの廃棄方法
自動車用バッテリーは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第十六条の三 指定有害廃棄物の処理の禁止によって、許可なく廃棄することが禁止されています。
使用済バッテリーは、ガソリンスタンドや自動車用品店などに処分をお願いしてみましょう。
最近では、廃品回収車が使用済みバッテリーを回収してくれる場合も多いので、回収車の巡回に合わせてお願いするのも一案です。
いずれの場合も処分料は、無料もしくは500円程度が一般的です。
6. 自動車用バッテリーを長持ちさせる秘訣
自動車をコンスタントに走らせることが、バッテリーのコンディション維持に良いのは言うまでもありません。
なぜなら、自動車のバッテリーは放充電のサイクルによって、電極に付着したサルフェーションを除去し、健全な状態を維持するように設計されているからです。
なので、自動車用バッテリーを長持ちさせるためには、長期間駐車による自然放電をいかにリカバーするか?がキーになってきます。
でも、用もないのに車を走らせるのは、色々な面でリスクがともないますよね。
そこで、おすすめするのが「メンテナンス充電」です。
少し初期投資が必要ですが、2年ごとにバッテリー交換することを考えると十分におつりが来ます。
そして何よりも、「使いたいときに車が動かない」が防止できる点は、代えがたいメリットと言えるでしょう。
メンテナンス充電については、別記事「自動車のバッテリーあがり!対処法と防ぐ方法」にて解説しています。
詳しくは、以下のリンクからご覧ください。
※別記事に飛びます。
7. まとめ
バッテリーの交換は、自動車を維持していく上で避けて通れないメンテナンスの一つです。
車検整備ごとに電圧測定をしてくれ、交換をすすめてくれる業者さんもありますが、自分で交換する方法が分かれば、よりタイムリーに、よりリーズナブルにカーライフを楽しむことができます。
皆さんも挑戦してみてください!